下記内容は予算・要望によって採用できないこともあります.






 断熱方法は外断熱を標準としています。
 内断熱でも十分との意見もありますが、経験から寒冷地では外断熱が絶対的に有利であると判断しているからです。

 低予算の関係からか一般的に基礎は床下、屋根は天井裏で断熱し、外壁面だけが外断熱である場合がほとんどなのです(図1)が、それでは床下は外部と同じ環境で従来通り換気が必要でベタ基礎の価値が薄れてしまいますし、天井裏は夏場非常に高温となり2階の住環境を悪化させるため、「外断熱」の意味はないと思います。

 それらをふまえ当事務所では図2のように外断熱しています。
 前述の断熱複合パネル(断熱材厚さは5.5cm)で外壁だけでなく屋根全面を覆います(A)。これによって天井裏の不快な温度差がなくなり、天井を省略すれば開放的な空間演出もできます。
 この断熱複合パネル、 "外断熱" + "気密" + "構造補強" が同時に実現できる優れもので、コスト削減の必要があれば室内側の壁仕上げを省略して化粧材として使うこともできるのです。
 ベタ基礎のスラブ床下は5cm厚さの硬質断熱材(B)、立上がり部分は2.5cm厚さの断熱材(シロアリ被害に無縁の炭酸カルシウム発泡材:C)で外側を覆います。これにより熱容量の大きい(熱しにくく冷めにくい)床下のコンクリートを室内環境に取り込むことができます。
 庇など建物形状の工夫によって、冬は日射を取り込み夏は遮るよう計画すれば、太陽熱の蓄熱体として床下コンクリートを有効に利用することが可能となるのです。
 冬は太陽光を浴びたコンクリートが夜まで温かく、夏は太陽光を遮られたコンクリートが冷たいままの理想的な環境をつくりだしてくれます。

 設計実例では過度な冷暖房に頼ることなく快適に暮らすことができる、といった感想をいくつもいただきご好評を得ています。