格子(LATTICE)



 格子の「透けつつ閉じる」という効果は他では得難い魅力的なものです。
 不思議なことに、暗い方から明るい方は見通せるけれど、逆になると見えなくなってしまいます。

 上手く利用できれば、カーテンいらずの生活も実現できます。
「隙間が空いているから覗かれるのでは」という懸念の声もありますが、基本的な人の動きを考えたとき住まいの中では「静」屋外では「動」なので、ストーカーのようによほど意図的に見ようとして格子の隙間から覗き込まない限り、写真右下のように中の様子を伺い知ることはほとんどできなくなるのです。
 計画当初は心配されていた方も、入居後さほど視線は気にならないとのことで気持ち良さを優先してカーテンなどはつけずに暮らしている事例が大半です。


 開放感と包容感を両立させるためには、やみくもに格子をつければよいのではなく、その断面形状と間隔には絶妙なバランスが必要となるので、簡単そうに見えますが実は難易度の高いパーツ。
 近年の設計では採用が多いのは、私の主観ではなく建主さんが「必ずどこかで使いたい」という要望が根強いからです。


 格子独特の「影の陰影の美しさ」や「街並に与える表情」は日本人の心の根底にある情景を思い起こさせてくれている、と信じて止みません。






愉しむ心のゆとりが大切。