気 設 備

自然吸気口は"閉"も含め手動で四段階の調整が可能

24時間換気+冷暖房を装備した浴室乾燥機

 2003年7月1日からシックハウス対策として建築基準法が改正され、住宅にも機械換気設備の設置が義務づけられました。
 近年の住宅の高断熱高気密化に伴って有害物質の室内汚染がとりだたされるようになり、24時間常に強制的に室内を換気させ、部屋の空気を2時間に1回のペースで外気と入れ替えるようにしなさい、というものです。

 建築従事者として、この法律が施行されるに至ったどう考えても怪しげな経緯を知っているだけに、何故こんなことをしなければならないのか疑問でいっぱいですが、法律で決められてしまったことですので、従わないわけにはいかないのが現状なのです。

 概略だけ説明しますと、換気の方法としては3種類の中から選択可能で、
  1. 給気と排気を機械を使用して強制的に行う第一種換気、
  2. 給気は機械を使用し強制的に行い排気は自然に行う第二種換気、
  3. 給気は自然に行い排気は機械を使用し強制的に行う第三種換気、
があります。

 第一種はシステムも複雑で天井裏に長いダクト配管が必要となる場合が多く、導入時のコストは20〜30万円もかかるため消費者には負担を強いるものとなりますが、メーカー住宅は換気メーカーと提携しているので主にこちらのシステムを採用しています。
 また、第二種は壁内部の湿気が室内に侵入しやすく、壁内部で結露を起こす恐れがあるため住宅ではほとんど採用されていません。
 その一方で第三種は浴室・トイレなど通常の局所換気扇を常時排気用として併用する工夫を行うことでローコスト化が図れるため、当事務所ではもっぱらこちらのシステムを採用しています。天井裏にダクトを這い回すよりも断然衛生的ですし、システムもシンプル、メンテナンスも簡単、です。

 換気設備は導入しておけば安心なわけではなく、メンテナンスに手間がかかります。
 給気・換気口のフィルターは1年ごとに清掃しなければ換気性能は落ちてしまいますし、換気機械自体にも定期的に点検が必要でしょう。それが換気メーカーの狙いなんですが . . . 。


 それにしても、住宅の中で一日中どの部屋にも誰かいるということはまず考えられないのに、家中全てを常に機械で強制換気されているのはあまり気持ちのいいものではありません。
 技術の進歩に常に後手後手でその場しのぎの法改正をしていくだけでは、日本の住環境は少しも改善されていかないのではないでしょうか。