03. ファーストプランと感性


プランをはじめて見たときの印象がとても大切です


 住まいに対する要望事項の整理がついたところからスタートして2週間〜1ヶ月程度の時間をいただき、こちらのアイデアや提案も加味した ファーストプラン を提出いたします。
 使用する面積が大きい素材ではサンプルもご用意し、じっくりと説明しますので、まずそれが「気に入ったかどうか」をご判断ください。

 この "感性=センス" がとても大切だと思います。

<提出するファーストプランの例>



 細かな修正はあとからもできますので、初めのうちから「収納が少ない」「お風呂はもっと広くしたい」「○○部屋は何畳にしたい」「窓の位置を変更したい」などの細かいところを指摘するのではなく、当事務所が考えたアイデアやコンセプト、おおまかな平面構成やデザインに対する「あなたの好み」をよく見極めていただきたいのです。


 「必ず実現させたい」ご要望はご予算の範囲内で全て反映できるよう、努力しております。
 稀な事例ですが、ファーストプランがどうしても肌に合わない場合はその事由を詳細にお聞きし、後に修正したプランを提案させていただいております。


 図面だけしかない段階で「住まいのイメージ」を固めるのは建主さんにとって大変なことと察しますが、ここでの話し合いが時間をかけて濃密に行えるほど、徐々に我が家に対する愛情も増し、様々なものにも興味を向けて見る目を養ってもらえるのではないかと考えています。



先輩方のご感想(ファーストプラン 編)

 その1
同じ床面積なのにメーカー住宅とは何が違うんだろうというくらいに満足いくプランを提示してもらえた。正直なところ、ケチをつけられないのが悔しいくらい(笑)。
 その2
自分達の家には必要ないと思っていた吹き抜けが提案されたが、デメリットを補う発想には驚くのと同時に嬉しさを感じた。前向きの提案で、これから考える楽しみが増えた。
 その3
しっかりとした考えに裏付けられたプラン提示に感嘆した。建物の上下階を90度回転して配置するという発想はとてもおもしろい。
 その4
主な要望は全て叶えられており、さらにそれを膨らませた提案には正直驚いたが、プロとしてのアイデアには感心させられた。
 その5
期待しすぎてはいけない、と思う気持ちとは裏腹に思いっきり期待して待っていたが、自分たちには考えつかないほど素晴らしいプランを提示してもらえた。あとの要望といっても恥ずかしいほどちっぽけなものしか残っていない。
 その6
非の打ち所がないプランに夫婦共々大満足。こちらの要望以上の提案をしてもらい、修正してもらいたいことなど見つからないくらい。

などなど...



補足:「プランニングする」と「間取りを考える」


 設計の最初の行為を、設計事務所では「プランニングする」と呼びますが、建主さんをはじめ一般の方は「間取りを考える」といいます。
 通説では「住宅の間取りくらいなら誰にでも考えられる」と簡単にとらえられていますが、両者において頭の中で考えられている行為としては決定的な違いがあるのです。
 当然のことながら「間取り」は部屋の大きさと配列を平面的に考えているだけなのに対し、「プランニング」では平面的だけにとどまらず、建主さんの暮らし方を想像しながら、さらには要望を実現するために、三次元の立体として空間をとらえ、高さ方向の断面で光や風の流れを検討し、果ては細かな部分的詳細にまで想いを馳せ、考えを練り上げていきます。
 この違いにこそ、設計のプロとしての設計事務所に依頼する特別な価値が見出せるのであり、住まいづくりの根幹となる基本プランをおろそかにすることは「豊かな住まい」には決してつながらないでしょう。